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相続不動産 完全ガイド

空き家特例(3,000万円特別控除)の使い方
——2024改正版・要件・申告手順

相続した空き家を売却するときに譲渡所得から3,000万円を控除できる「空き家特例」。要件・申告手順・必要書類・2024年改正の内容を、宅地建物取引業者が実務目線で解説します。

最終更新:2026年5月14日|監修:澁谷 律(宅地建物取引士)

この記事の結論

  • 空き家特例は譲渡所得から最大3,000万円を控除できる強力な特例。要件を満たせば数百万円の節税効果
  • 対象は「被相続人居住用」「昭和56年5月31日以前建築」「区分所有以外」「相続後賃貸転用なし」「耐震or解体済み」「1億円以下」など複数
  • 期限は「相続発生日から3年を経過する日の属する年の12月31日」まで。要件・期限を満たさないと適用不可
  • 2024年改正で相続人が3人以上の場合の控除額が一部減額。最新規定の確認が必須
  • 申告には市区町村の「被相続人居住用家屋等確認書」が必要。発行に時間がかかるため早期準備を

目次

  1. 1. 空き家特例の概要
  2. 2. 適用要件(家屋・売却・期限)
  3. 3. 2024年改正の内容
  4. 4. 対象外になるケース
  5. 5. 控除額の計算例
  6. 6. 申告手順・必要書類
  7. 7. 他の特例との併用可否
  8. 8. 注意点・よくある失敗
  9. 9. よくある質問

1. 空き家特例の概要

正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」。相続した空き家を売却した際の譲渡所得から、最大3,000万円を控除できる制度です。

節税効果の例

  • 譲渡所得2,000万円 × 長期譲渡税率20% = 通常400万円の税負担
  • 空き家特例適用 → 譲渡所得0円(控除内)→ 税負担0円
  • 節税効果:400万円

この特例は時限措置で、適用期限は2027年12月31日まで(執筆時点)。延長される可能性もありますが、現行制度のうちに活用するのが安全です。

2. 適用要件(家屋・売却・期限)

家屋に関する要件

  • 被相続人が相続発生直前まで居住用に使用していた家屋
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(旧耐震基準)
  • 区分所有建物登記がされていない(分譲マンションは原則対象外)
  • 相続発生時点で被相続人が単独で居住していた(同居人がいない)
  • 相続後、賃貸その他の事業の用に供されていない

売却に関する要件

  • 売却価格が1億円以下
  • 次のいずれか:(A) 売却時に耐震基準を満たすリフォーム済み(耐震基準適合証明書)、(B) 売却時に家屋を取り壊し済み(土地のみ売却)、(C) 2024年改正で買主が売却後に対応する場合も可

期限

相続発生日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。例:2024年4月相続発生 → 2027年12月31日が期限。

3. 2024年改正の内容

2024年1月1日以後の譲渡について、以下の改正が行われました:

改正点1:買主が解体・耐震リフォームする選択肢

売却時に売主が解体・耐震リフォームを行わなくても、買主が引渡し後に行うことを条件にする方法が認められました。これにより、解体費用の負担なく特例を活用できるケースが増えました。

改正点2:相続人3人以上の場合の控除額減額

相続人が3人以上の場合、1人あたりの控除額が3,000万円→2,000万円に減額されました。

  • 相続人1〜2人の場合:1人あたり3,000万円控除(変更なし)
  • 相続人3人以上の場合:1人あたり2,000万円控除(減額)

兄弟姉妹3人で共有相続→共有売却するケースなどで影響が大きいため、事前のシミュレーションが重要です。

4. 対象外になるケース

以下のケースでは空き家特例を適用できません:

  • マンション(区分所有):原則対象外
  • 昭和56年6月1日以降建築:新耐震基準のため対象外
  • 被相続人と同居していた相続人がいた:「空き家」要件を満たさない
  • 相続後に賃貸に出した:「事業の用に供されていない」要件違反
  • 売却価格1億円超:高額物件は対象外
  • 耐震リフォーム・解体なしで売却(買主対応なし)
  • 相続発生から3年経過後の売却:期限切れ

5. 控除額の計算例

ケース1:相続人1人で売却

売却価格:3,500万円

取得費(被相続人の取得時):1,000万円

譲渡費用(仲介手数料等):100万円

譲渡所得:3,500 − 1,000 − 100 = 2,400万円

空き家特例適用後:2,400 − 3,000 = 0円

所得税・住民税:0円(節税効果:約480万円)

ケース2:兄弟3人で共有相続→共有売却

売却価格:6,000万円(3人で1/3ずつ)

各相続人の譲渡所得:1,800万円(仮)

各相続人の控除:2,000万円(2024年改正で減額)

各相続人の課税所得:0円(控除内)

3人合計の節税効果:約1,080万円

ケース3:1億円超で対象外

売却価格:1億2,000万円 → 1億円超のため対象外

譲渡所得全額が課税対象(特例なし)

6. 申告手順・必要書類

申告のタイミング

売却した年の翌年2月16日〜3月15日に確定申告(譲渡所得用)。特例適用には申告が必須です。

必要書類

  • 確定申告書(譲渡所得の内訳書)
  • 売買契約書のコピー
  • 登記事項証明書(家屋・土地)
  • 被相続人居住用家屋等確認書(市区町村発行)
  • 耐震基準適合証明書(耐震リフォーム済みの場合)
  • 家屋取り壊し時の登記簿等(解体済みの場合)
  • 戸籍謄本・除籍謄本(相続関係の証明)
  • 被相続人の住民票の除票(居住の証明)

特に「被相続人居住用家屋等確認書」は市区町村役場で発行に1〜2週間かかるため、申告期限の余裕を持って準備してください。

7. 他の特例との併用可否

特例空き家特例との併用
マイホーム特例(3,000万円控除)不可(同じ物件で重複適用は不可)
10年超所有軽減税率
買換え特例不可
相続税の取得費加算特例どちらか有利な方を選択

税理士と相談しながら、最も有利な特例の組み合わせを選んでください。

8. 注意点・よくある失敗

  • 期限を過ぎてしまう:相続後3年(厳密には「3年を経過する日の属する年の12月31日」)
  • 賃貸に出して要件違反:少額の家賃でも事業の用に供したとみなされる
  • 確認書の取得が遅れる:市区町村発行に時間がかかる
  • 耐震リフォーム費用を売主負担で行う:2024年改正で買主負担の選択肢もあるため検討
  • マンションで適用できると勘違い:区分所有は原則対象外
  • 共有相続で控除額減額に気づかない:2024年改正で3人以上は1人2,000万円

詳細な税務判断は税理士へ。本メディアでは具体的な税額計算は対応していません。提携の税理士を必要に応じてご紹介します。

よくある質問

Q. マンションでも空き家特例は使えますか?

原則として使えません。空き家特例は「区分所有建物登記がされていない家屋」が対象のため、分譲マンションは対象外です。ただし、1棟丸ごと相続したマンション(共同住宅)の場合は適用される可能性があります。詳細は税理士へご相談ください。

Q. 兄弟姉妹で共有相続した場合、特例はどうなりますか?

各相続人がそれぞれ3,000万円控除を受けられます。ただし2024年改正で「相続人が3人以上の場合は1人あたり2,000万円に減額」されました(2024年1月1日以後の譲渡が対象)。詳細は最新の税制を確認してください。

Q. 解体せずに売却した場合は特例を使えますか?

原則として、売却時点で「耐震基準を満たすリフォーム済み」または「家屋を取り壊し済み」のいずれかが必要です。ただし2024年改正で、買主が売却後に取り壊す or 耐震リフォームすることを条件にする選択肢が追加されました。

Q. 賃貸に出していた空き家でも特例は使えますか?

使えません。相続後に「賃貸その他の事業の用に供されていないこと」が要件です。短期間でも賃貸契約を結んでいた場合は対象外になります。空き家のまま売却することが要件です。

Q. 申告を忘れた場合、後から特例適用できますか?

更正の請求(5年以内)で適用申請が可能ですが、要件を満たしていることの証明が難しくなる場合があります。原則として、譲渡した年の翌年3月15日までの確定申告で適用を受けることを強く推奨します。

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この記事の監修者

澁谷 律(しぶたに りつ)

宅地建物取引士。ラスエステート株式会社 代表取締役(東京都知事(1)第111381号)。 フリークス株式会社 代表取締役。 不動産投資家・宅建業者・買取再販事業者として、売主・買主・業者の三つの立場から不動産取引に関わる。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の取引判断・法律判断を保証するものではありません。 具体的なご相談は、宅地建物取引士・弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。 記事内容は最終更新時点のものであり、法令・市況の変動により実際と異なる場合があります。